長襦袢の襟汚れを落とすには?自分でやれる場合とできない場合

はじめに

着物は、日本の伝統的な衣装であり、特有の美しさと格式を持つ一方で、その取り扱いやメンテナンスには独特の注意が必要です。

特に、長襦袢の襟は顔や髪、ファンデーションなどの化粧品と直接接触するためとても汚れやすい部分です。

汚れた襟をそのままにしておくと、汚れが定着してしまって洗っても取れなくなる可能性があります。

基本的には、プロの専門家に汚れ落としをしてもらった方がいいのですが、着物に詳しくない方でも簡単に襟の汚れを取る方法を知っていれば、低コストで大切な着物を長く美しく保つことができます。

今回は、自分で長襦袢の襟汚れを落とす方法、それから、自分では落とすことができず専門家にお願いした方がいい場合を説明します。

長襦袢とは?その役割を知ろう

長襦袢(ながじゅばん)は、着物の下に着る下着の一つで、主に絹や綿などの素材で作られています。

白や薄い色が一般的で、涼しい透け感が特徴です。

長襦袢の主な役割は、着物と肌の間の摩擦を減少させて着心地を良くしたり、汗などの体液で着物が汚れないように保護することです。

また、そのような機能的な面だけではなく、着物姿の見た目の美しさを保つためにも不可欠で、着物のドレープやシルエットを美しく見せることができます。


襟の汚れの主な原因

長襦袢の衿は、汚れやすい部分であり、以下のような原因で汚れることが多いです。

皮脂や汗

首周りは日常的に皮脂や汗を多く分泌する部分です。

特に夏場や暖房が効いている冬場など、気温が高く、汗が多く出る環境では、長襦袢の襟に染みが付くことが多いです。

化粧品の移り

基礎化粧品やメイク、特にファンデーションやパウダーなどが、長襦袢を着る際や脱ぐ際に襟に触れることで汚れることがあります。

髪の毛のオイルや製品 ヘアケア製品やヘアスプレー、ヘアワックスなどの髪に付けたアイテムの成分が、髪や体の動きとともに襟に付いて汚れることがあります。

食べ物や飲み物のしみ

食事中にうっかり食べ物や飲み物をこぼしてしまった場合にも、襟部分が汚れることが多いです。

外部からの汚れ

自分では汚れないように注意してても、風やほこり、雨などの外的要因によっても、襟部分は汚れることがあります。

特に、外を移動中に他の物と接触したり、風による原因で、汚れが付着する場合があります。

襟汚れを落とす時に用意するもの

どうしても、自分で襟汚れを落としたい場合には、以下のものを用意しましょう。

必要な洗浄材料と道具のリスト

中性洗剤

着物や長襦袢は、デリケートな素材である絹を使っていることが多いです。

生地を傷つけないために、やさしい中性洗剤を使う必要があります。その時には、余計な匂いが付かないように香料や色素の少ないものがおすすめです。

柔らかい歯ブラシまたはクリーニングブラシ

手洗いで取れないような、しつこい汚れを優しくこすって落とすために使用します。

清潔な布やタオル

洗った後の余分な水分を取り除いたり、襟の下に敷いて汚れ落としをします。

ボウルや洗面器

襟を洗う際に、洗剤を溶かして使うための容器が必要です。

もし、無ければ、洗面台に水を貯めて代用することもできます。

汚れの種類や半衿の生地の素材によって、冷水またはぬるま湯を選びます。

染み抜き

しつこい汚れや特定のタイプの汚れ(例:化粧品)には、市販の染み抜きが効果的な場合があります。

ただし、長襦袢の素材や色に合わせて慎重に選ぶ必要があります。

この辺りが素人には難しいので、専門家に任せた方が良い理由となります。

手袋

素手で洗っても良いのですが、手の油分や汚れが長襦袢に移るのを防ぐために手袋を使うのも良いでしょう。

また、洗剤や染み抜きを使用する際に手が荒れたりしないように保護する意味もあります。

干しネットやハンガー

襟を洗った後に、雑に乾燥させると形が崩れてしまいます。

綺麗な形で乾燥させるためにハンガーなどを用意しておきましょう。

選ぶべき洗剤の種類

襟汚れを落とす時に使う洗剤は、長襦袢の素材や汚れの状態によって異なります。

洗剤の種類を確認した上で、適切な量と方法で使用することが大事です。

事前に、襟の目立たない部分や、同じ生地で色落ちや変色のテストをすると良いです。

中性洗剤

着物や長襦袢は、正絹などのデリケートな素材でできていることが多いため、強い洗剤は避けて、中性洗剤を選ぶことが基本となります。

中性洗剤は、アルカリや酸性が少なく、生地の繊維を傷つけにくい特性を持っています。

無添加の洗剤

襟に余計な匂いなどが付かないように、香料、染料、防腐剤などの添加物が含まれていない洗剤を使用しましょう。

シルク専用洗剤

長襦袢の襟が絹の場合、シルク専用の洗剤を使用するようにしましょう。

シルクは非常にデリケートな素材のため、シルクでも優しく洗えるような製品が開発されています。

弱アルカリ性洗剤

汗や皮脂による普通に洗っただけでは、取れないような汚れがある場合には、弱アルカリ性の洗剤が効果的です。

ただし、頻繁に使用すると色落ちや繊維の劣化の原因となるため、使用は極力控えるようにしましょう。

前準備: 汚れの確認と対処

襟を洗う前に、必ず汚れの種類や状態を正確に確認しましょう。

汚れの種類や状態によって、洗い方が変わります。

まずは、必ず襟の目立たない部分で色落ちなどがないかテストをしましょう。

襟の汚れの種類とその特性

乾燥して固まった汚れや塊がある場合には、柔ないブラシや布で優しく洗い落としましょう。

水や洗剤を使用する前の前段階の準備です。

化粧品や髪の毛のオイルなどの油性の汚れの場合は、油分を分解できるタイプの洗剤や染み抜きを利用することで汚れを落とすことができます。

汗や飲み物などの水性の汚れは、中性洗剤や無添加の洗剤を用いて部分洗いをしましょう。

ただし、汗は簡単には取れない上に、取れずに残った場合には、汚れが残り生地を痛めてしまいます。

本当は、汗抜きは専門の業者に依頼するのがおすすめです。

汚れがついてからすぐの場合には、汚れを落としやすいのですが、長期間放置された場合や、洗っても落ちないようなきつい汚れの場合には、自分でやろうとせずに、専門の業者にお願いすることをお勧めします。

基本的な洗い方

水を浸すための、バケツや洗面器を用意して、ぬるま湯を貯めます。温度が高いと色落ちや縮みの原因になりますので、注意して下さい。

水の中に中性洗剤を指示通りの量を溶かして、よくかき混ぜます。

柔らかい布やスポンジに洗剤を含ませて、襟の汚れている部分を軽く叩きながら洗います。

こすり洗いはやらないようにしましょう。

汚れが落ちたら、綺麗なぬるま湯でしっかりとすすぎます。

洗剤が残らないように、丁寧にすすぎましょう。

洗剤が取れたら、洗った部分をタオルで軽く押さえて、水分を取り除きます。

絞ったり、余計な力は加えずに押さえるようにして丁寧に水分を取り除きましょう。

注意点

長襦袢の半衿は、洗濯機で洗わないようにして下さい。

また、漂白剤や塩素系洗剤は使用してはいけません。

洗浄後の手順

洗った後は、直射日光を避けて、風通しの良い場所で陰干しして自然に乾燥させます。

乾燥させる時には、形を整えておくと型崩れを防ぐことができます。

油性の汚れや化粧品の跡など特別な汚れに対する対処法

ファンデーションや化粧品、汚れてから長期間経っている汚れなどは自分で落とすことが難しいので、必ず専門の業者に頼むようにしましょう。

無理に汚れを落とそうとすると、半衿が使えない状態になってしまいますので、そこは割り切ってお金を出す方が、結局は安上がりになります。

襟の汚れを防ぐための日常のケア

長襦袢の半衿は、特に汚れやすい部分なので、着物を脱いだ後は、すぐに長襦袢を畳まずに、風通しの良いところで湿気や汗を飛ばして乾燥させましょう。

着物や長襦袢を収納する場所は、湿気を避けるために定期的に換気を行い、乾燥剤を使用すると良いです。

まとめ


ここでは、長襦袢の半衿が汚れた場合に、自分で汚れを落とす方法を解説してきました。

汚れて、すぐの場合や、簡単に取れる汚れの場合には、自分でもできますが、汚れてから時間が経っている場合や、油性の汚れの場合には、専門の業者にお勧めすることをお勧めします。

当店でも、長襦袢の襟汚れを落とすことができますので、お気軽にお問い合わせ下さい。

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